Geniusな日々をご紹介

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WR250X
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ドライブアクスルのスプラインがナメてしまっているWR250X。にわかに信じ難いがアクスル上でスプロケットが空回りしていた。ロックナットはカシメてあるので緩みは無い。
オーナーはサーキット走行を楽しむかなりの猛者。

モタードの走りではシフトダウンでリヤホッピングさせてスライドのきっかけを作るのですが、高μのタイヤと路面から来る激しいバックトルクが原因。オフ車ベースなのでスプロケットホイルハブにダンパーを持たないのも一役買っている。




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新旧比較。



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これだけの損傷なのにミッションは他に異常無し。




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スリッパークラッチやアクスルのWPC加工等も相談しましたが、ヘッドのメンテナンス追加のみで納車。再度壊さない為にコーナー進入時、Rブレーキ併用する様お願いしましたがこのオーナーさん楽々やっちゃうでしょうね。普通の人はこんな壊し方出来ませんよ。(私は普通以下。念の為。)
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T-MAX530のドライブプーリーがスイングアームピボット同軸となっている事は前回触れましたがその設計の狙いを一般的なバイクのスイングアーム周りに働く力から考えてみましょう。




無題
ドライブスプロケットの頂上からドリブンスプロケットの頂上をチェーンで引っ張る訳ですから後輪は上方に、車体側から見れば後部は下がる(スクワットする)事になります。走行中であれば重心の移動が加わって更に顕著です。でもこれではサスペンションが完全に駆動力の支配下に置かれてしまうので車体の姿勢を保つという仕事が出来ません。ではなぜ普通に走れるのかと申しますと、駆動力を掛けたら掛けたなりの反力(アンチスクワット)が存在するからです。そのおおまかな力の均衡のおかげでバイクの走行安定性が成り立っています。アンチスクワットの正体の物理的にな解析は私ごときには到底無理ですが、体感的にはFブレーキを掛けたまま発進しようとした時にリヤが上がるアレです。そのアレな状態はスクワットにアンチスクワットが勝っている状態です。(垂れ角の付いたアームを後ろから押す→垂れ角が増す。* 私はこの様に捉えています。)
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先の説明とは力の掛かり方が逆の場合、つまりエンジンブレーキなどで路面からタイヤの接地面を後方に引く力が掛かった時、今度はドライブチェーンの下側が張る訳で、スイングアームは伸びようとします。(リフト
しかしこちらもしっかりアンチリフトが効き、減速時Rサスペンションが伸びきる事は余り多くは有りません。
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Rアーム周りに働く力(リフト、スクワット、等)の均衡の割合はその時のストローク量や車体の姿勢等で常に変化しています。それはドライブアクスル、スイングアームピボット、リヤホイールアクスルの軸の位置関係が絶えず変化するからです。
近年のスポーツバイクはこの三軸が乗車1G時にほぼ一直線になっておりサスペンションのストロークを規制する事で ある程度均衡の取れたおいしい領域を使う様に設計されています。
おいしい領域を広く取りたければスイングアーム長を長くする、ドライブアクスル~スイングアームピボット間を短くする等が具体的な手法として考えられますが、車体設計上の制約は有ります。T-MAX530がスイングアームピボット同軸上にドライブプーリーを持つのも短いスイングアーム長で良好なサスペンション動作を保ったまま長いストロークを確保しようとした結果であります。(ベルトの遊びに変化か無い事も重要)




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XV1700ASはクラッシックなリジット風フレームに見せる為スイングアームが短くRホイールのストローク量に対しての先程の力の均衡の変化量が大きくなってしまう為、ミッションのドライブアクスルの後ろにもう一軸設けてドライブプーリーをスイングアームピボットに近づける工夫がなされています。(おかげでミッションもクラシカルな別体風に見えます。)
MT01は上の画像の一番前方のギヤ直後までスイングアームが延びています。




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スイングアームピボット同軸のドライブアクスルが何となく良い事はかなり昔から解っていた様ですが、構造が複雑で生産性、整備性に難が有り、レースなどの分野では乗員の感性にマッチしない等、特定分野を除き今後も主流にはならないでしょう。(モトクロスのジャンプ等短い助走での驚異的な飛距離は登り斜面に車体を押し付けて思い切り駆動を掛ける事によりRサスペンションのスプリングを押し縮め、一気にアクセルを戻すことでスプリングの力を解放することで慣性力の補助をさせて飛ぶ、つまり均衡の崩れを利用しているのです)
特異な構造は市場に受け入れられ難い為過去に沢山売れた例は無く、T-MAX530が最も商業的に成功した車と言う事に異論を唱える人はいない筈です。


*R周りだけですがテーマが壮大すぎて大変でした。相変わらずの屁理屈ですがだいぶ端折ってますので興味の沸いた方御自身で調べてみて下さい。ライディングにセッティングに色々役立つ事請け合いです。




T-MAXは530で2次駆動方式にベルトを採用しました。大きくて重いケースが無くなったので大幅にバネ下重量が軽減され、よりモーターサイクルらしくなりました。




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こちら前作4B5はオイルバス式チェーンです。外形寸法を抑える為にアイドルギヤでも減速させているのが判ります。調整機構を持たない構造の為フロントスプロケットとスイングアームピボットが同軸上に位置しておりサスペンションの動作量がチェーンのテンションに影響を与えない優れた設計です。(530も同軸ですが一般的なアジャスターを有します。)
同様の技術的トライはモーターサイクル史の中で散見致します。




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真っ先に思い浮かんだBIMOTA KB2(1981-1984)。通常クランクケース後方に位置するスイングアームピボットが、エンジンを抱え込む様に編まれたフレームによりトランスミッションドライブアクスルと同座標に位置します。ロードスポーツなのにとんでもなく長いスイングアームは今日のR1の先駆け。DUCATI916、MV AGUSTA F4等のデザイナー、マッシモ・タンブリーニ作。




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発売間も無いBMW G450のコアキシャルドライブです。HUSQVARNAを傘下にしてからオフ車にも積極的。見事スイングアームピボットがドライブアクスルを貫通しています。




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最後は変り種、空冷エンジンしか使わなかった米国のATK(1980年代半ば位だったと思う、、最近HYOSUNGと提携したらしい、、)のチェーントルクエリミネーター。前出と違いスプロケットとピボット位置は一般的なのだがスイングアーム前方の上下にチェーンガイドを設けてチェーンが描くターン円の中心にスイングアームピボットが位置する巧みな設計。ドライブスプロケット同軸上にブレーキディスクが有る!為チェーンの遊びを殺す必要が有ったんだね。狙いはバネ下重量低減、530と同様。(何とかT-MAXに戻れたな。)
長文につき今日は構造だけの紹介。ドライバビリティについては今度解説致します。
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